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2024.12.28

着付け

着物を着る時に補正は必要?着物を美しく装う仕組みとは?体型別に必要な補正も解説

着物を着る際に、タオルやコットンなどがあてがわれる「補正」という工程、着物を着たことがある方なら誰しも経験があるでしょう。着物はただでさえ何枚も着るのにタオルまで入っていて暑かったという方、なんか違和感を拭いきれず着心地が悪かったという方もいらっしゃるでしょう。実は、補正こそ着付け師の技量の差が最も出る、難しい工程の一つでもあるのです。では、この「補正」という工程はなんのために必要なのでしょうか。

今回は、着物の補正について、体型別補正も含め、詳しく解説していきます。

和装の理想姿はコケシ人形

和装で美しいとされる姿は、まさしくコケシ人形のような寸胴なのです。洋装に慣れてしまっていると、洋装で美しいとされるデコラティブなボディを和装でも求めてしまいますが、着物姿の美の基準は違うのです。

寸胴が美しいとされる世界

着物の世界では、寸胴が最も美しく着物が装える体型だとされています。これは洋装とは違い、帯を巻き、衿元はきちっと締めながらも衣紋は抜いて女性らしさを演出するという和装ならではの装いゆえだと考えられます。

補正は寸胴体型に近付けるための土台作り

寸胴が理想体型とは言え、完璧な寸胴体型をしているという方もそうそういません。そこで大事になってくるのが補正です。補正は寸胴により近づけるための、いわば土台作りといったものになります。ボディラインの凸凹を失くし、均一な寸胴体型ラインを出すようにするのです。その際に使われるものは、フェイスタオルやバスタオル類、脱脂綿、コットン、さらしなどになります。

寸胴にしないで着付けると美しく装えない

若い方で、「せっかく日々努力してウェストを絞り上げているのにそれを補正や帯で隠されてしまうのは嫌だ」と怒る方もいます。しかし、帯はベルトではありません。ある程度の幅があり、随所に模様もあります。もし帯をくびれたウェストに合わせて巻いたらどうなるか想像してみて下さい。帯はまっすぐ巻かれず、途中がひしゃげ、模様もきちんと見えないことになるでしょう。見た目にも大変残念なことになるのです。さらに、きちんと装えない分、着崩れも起こしやすくなってしまいます。

過度な補正はNG!適切な補正が何よりも大事

補正は着物を着る上で大変大事なことです。しかし、大事だからとむやみに補正をするのは違います。人の顔がすべて違うように、体型も十人十色で違います。そのため、全員を同じ補正で着付けてもきちんとコケシ型になるわけではないのです。着付け師は着付ける人の体型を瞬時に見抜き、凹はタオルなどで埋め、凸はさらしなどで押さえ、その人に合った補正をする必要があるのです。そこから、補正で着付け師の技量が分かってしまうとも言われています。

体型に合った完璧な補正は不快感など全くなく、むしろ快適に着物を着ることができます。逆に体型に合っていない補正は、身体の節々に傷みが出たり、違和感があったり、写真姿も美しくないといった弊害が出てしまうのです。

体型別の補正を知る

寸胴にするためのチェックポイントは、「鎖骨」、「バスト」、「ウェスト」、「ヒップ」になります。どんな体型の方でもこの4ポイントを基準に補正をしていきます。

猫背や瘦せ型の体型の人に必須な鎖骨の補正

鎖骨がしっかり見えているのは洋装では大変美しいとされています。和装では鎖骨部分は着物で覆われて見えないため、鎖骨のデコルテはあまり関係ありません。ただし、極端に鎖骨が出て、鎖骨のくぼみが強調されている体型の方はここでしっかり補正をしておかないと着物の衿元が乱れやすくなってしまいます。

よほど痩せている方は薄手のタオルを使って補正するのが望ましいですが、多少の凹み程度であれば脱脂綿やパッドなどを上手に使って補正することが可能です。

バストの大きい人に必要なバスト抑えの補正

自慢の豊かなバストが抑えられてしまうのは不快でしかないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、豊かなバストをそのままに着付けてしまうと、衿元は開き、すぐに着崩れてしまうことになります。歩くたびに胸が揺れてはより着物の衿元が着崩れ、最悪の場合胸が丸見え状態になってしまいます。こんな最悪な状態を回避するためにも、胸の補正は必要と言えるのです。具体的にはさらしを胸に巻き、固定します。ブラジャーの代わりぐらいに考えると良いでしょう。胸をさらしで固定すれば、肩こりも幾分軽減されるので、楽に感じられる部分もありますよ。

砂時計体型の人に必須なウェスト周りの補正

バストとウェストとヒップのラインが一直線になることでより寸胴体型に近付けます。特にくびれている方はウェストに大き目のバスタオルやフェイスタオルなどを巻いて凹みを補正していく必要があります。ここを補正することで帯が美しく巻けるので、きゅっとしたウェストが隠されて多少不満であっても我慢しましょう。

反り腰や背中痩せ体型の人に必須なヒップや背中、腰の補正

背中が痩せている方は肩甲骨と肩甲骨の間部分が腰に掛けて凹んでいる傾向にあります。この凹みをそのままに着物を着るとどうしてもその部分にシワが寄り、後ろ姿が美しくなくなってしまうのです。背中部分の凹みは細く畳んだ薄いタオルで補正し、凹みを埋めます。

また、反り腰体系の方は、腰のあたりに大きな空間ができてしまっています。ここを埋めるべく通常はフェイスタオルを2枚使って補正を行います。反り腰をそのままにしておくと帯を結んだ時に格好が悪くなってしまうので、背中は壁のようにまっすぐになるよう補正する必要があるのです。

自分で着物を着る場合の補正

上記に挙げた補正は主に人に着付けてもらう時の補正になりますが、自分で着る時に気を付けるべき点は同じです。しかし、身体にタオルを乗せたまま、上手に襦袢を羽織れるかというと、なかなか上手くはいかないものです。今では市販の補正用品も沢山売っていますが、その中から自分に合った補正を探すのはなかなか難しいものがあります。

そこでお勧めしたいのが、自分専用の補正用品を作ってしまうという方法です。ブラジャーのパッド、肩パッド、余った布(白色)などを用い、直接肌着に縫い付けたり、紐に縫い付けたり、自分で着やすく工夫するのです。これで自分だけの完璧な補正を実現することができますよ。

まとめ

補正の必要性、体型別補正について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。着物を美しく装う上で補正は必須ですが、過度な補正や体型に合っていない補正は、補正とは言えません。補正の必要性を理解した上で、「どうしてもココはこうして欲しい」ということがあれば着付け師に相談してみるのが良いでしょう。

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