着物の合わせ方は「右前」!右前で合わせる理由と着付けのコツとは
着物や浴衣を自分で着る時に、右が上だったか左が上だったか、どちらが正しかったか分からなくなってしまった経験はありませんか。訪問着のような着物では上側にくる布地には豪華な文様があるので分かりやすいですが、同じ柄が連続する浴衣や小紋では布地での判断が難しいのです。ところで、なぜ「右前」が正しいのかご存じですか?
今回は、着物の合わせ方がなぜ「右前」なのか、「左前」はNGとされる理由、着物の合わせ方を間違えないコツについて解説していきます。
目次
着物の合わせ方は「右前」が正解
着物の合わせ方は、「右前」が正しい合わせ方になります。
右前というのは、相手から見て右衿が上にくる合わせ方を言います。逆に言えば、自分からすると右衿が左衿の下にきているのが正しい合わせ方ということになります。
着物の合わせ方が「右前」な理由
着物の合わせ方は右前が正しいとされ、左前は御法度とされています。ここではその理由について解説していきます。
「右前」は法令で定められていた
奈良時代、装束に関する諸々のことが法令によって定められました。その中に、着物の合わせ方の項目もあり、身分性別問わず「右前」を基本とすることが定められたのです。この法令制定から現代に至るまで、一貫して右前が正しい着物の合わせ方と認識され、実践されてきています。
着物は右利きの人に便利なように作られている
日本の人口の90%近くが右利きと言われています。今でこそ左利きを右利きに矯正する動きは減ってきましたが、戦前は右利きであることが当たり前とされていたと言います。そんな日本人のための装いとして発展してきた着物は、当然右利き向けに作られているのです。かつてはバッグや袋などといったものもなく、大事なものは懐や袂、頭巾などの中に隠して出掛けていました。右利きであれば懐に手を忍ばせる際、当然右手を使います。右手を使って懐から物を取り出す際、右手側の衿が開いていた方が勝手も良いということから、右前が定着していったとも言われているのです。
「左前」は死装束
では、自分は左利きなので「左前」でも良いのかと思われた方もいるかもしれません。結論から言うと、どんな場合でも「左前」で着ることは御法度です。
「左前」が唯一許される着方は死装束になります。死装束とは、死後の世界へ旅立つための装いであり、その人にとっての最期の衣装です。そのため、生きている人間が左前で着物を着てしまうのは大変不吉であり、縁起が悪いとされています。特におめでたい席では嫌煙されるので気を付けましょう。
ところで、なぜ死装束が左前なのかというと、これは死後の世界は今生きている世界とは反対の世界であるという考え方に由来しているようです。反対の世界へと旅立つ者は、着物もきちんと反対前(左前)にして、送り出さねばならないということなのです。
右前で着物を着るコツ
着物は「右前」ということを覚えていても、いざ着物を着ようとした時に「右前が正しいから右が上だっけ?」と悩んでしまうことがあります。ここでは、右前で着るコツについてご紹介していきます。
衿合わせは右手から
肌着を身に着ける時、長襦袢を着る時、着物を着る時、いずれも衿合わせは右手からと覚えておきましょう。右の衿を左胸にかけて沿わせ、それから左の衿を右衿の上に沿わせるようにして衿合わせをします。こうすることで右が上か、左が上か、どちらが上か分からなくなってしまうことも無くなります。
長襦袢の時に衿合わせが正しいか再度確認
長襦袢の衿は着物から見えます。ここで正しい合わせ方ができていないと死装束となってしまい、相手に不快感を与える着付けとなってしまうので気を付けましょう。
長襦袢が着られたら、衿合わせが正しいかの確認を行います。
・右衿が左衿の下になっている
・右手が懐に無理なく入る
・上前の端は右側に来ている(右側がペラペラしている)
上記の3点が確認できれば正しい合わせ方になっています。着物は長襦袢と同じように着れば問題ありません。着物を着終わった後も上記の3点を確認し、しっかり右前になっていることをチェックしましょう。
他人に着付ける時の合わせ方のコツ
他人に着付ける場合は、自分で着る時とは異なり左右が反転するので、合わせ方に気をつけなくてはなりません。
長襦袢を着せる
長襦袢を羽織らせ、衣紋の抜き加減を調整したら、すぐにその衣紋を左手でしっかり押さえます。右手で右衿を取り、そのまま左のバストを覆うように右衿の位置決めをします。右衿の位置が決定したら、左手を衣紋から離して左衿を取り、右衿の上に覆って、位置決めしていきます。この時点でしっかり右前になっているはずですが、胸紐をかけてから今一度右前かどうか確認しておくと安心です。
着物を着せる
着物を着せる場合は、衿を合わせるよりも先に、裾決めをします。着せる相手の正面にしゃがみ、衿先から手幅一つ分上の部分を持ち裾決めします。左手で持っている衿先を先に右脇に挿しこみ、続いて右手で持っている上前で下前を覆います。この時、どちらの手から動かすのか分からなくなってしまった場合は、長襦袢の衿の合わせ方をみましょう。衿の合わせ方と同じように裾合わせをすることで、しっかり右前となります。
腰紐でしっかり裾合わせを固定したら、着物の衿合わせを行います。襦袢の衿合わせと逆にならないようよく気を付けて行うようにしましょう。
まとめ
着物の合わせ方がなぜ「右前」なのか、「左前」ではいけない理由、「右前」で着る時のコツやポイントについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
着物の合わせ方は意外と目立つものです。万が一にも左前で着てしまっていると他の人に不快感を与えてしまうことになるので気を付けなくてはいけません。出掛ける前に再度右前できちんと着られているか確認してから出掛けるようにすると安心ですよ。
右前で着られているかは、右手を懐に入れやすいか、上前の端は右側に来ているかどうかで判断ができるので、ぜひ参考にしてみて下さい。
着物レンタル店和楽では、着付けもプロの着付け師が担当します。右前という絶対的なルールを間違うことなく、きっちり着付けてくれるので安心して着付けを任せることができます。気になる方はぜひ一度和楽のホームページをチェックしてみて下さいね。
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