浴衣の前の位置と衿の正しい合わせ方、「どっち前」を覚えるポイント！

浴衣を着る際に、右側が上か左側が上か、どちらが正しいのか分からなくなった経験はありませんか？間違った方が上になると不吉とされるため、注意が必要です。

今回は、浴衣を着る際の正しい合わせ方や、どちらが上になるべきかについて詳しく説明いたします。ぜひご参考にしてください。

浴衣の合わせ方はどっち前？「右前」が正解！

浴衣の着付けにおいては、「右前」が正しい方法とされています。

「右前」とは、他者から見た際に右側の衿が上に位置する着方を指します。言い換えれば、自分の視点から見ると右側の衿が左側の衿の下に来るのが正しい着付けの方法となります。

着物も浴衣も「右前」で着る

着物や浴衣の着方において、「右前」が正しいとされています。しかし、「右前」が正解で「左前」が不適切である理由について考えたことはありませんか？ここでは、その理由を探っていきましょう。

着物や浴衣の「右前」は法令で定められている

奈良時代において、着物は日本人の伝統的な装束として確立され、装束に関する法令が制定されました。この法令は、適切な着方や崩れた着方を避け、皆が一定のルールに従って身なりを整えることを目的としていたようです。その中で、着物（浴衣）の着付けに関するルールも定められ、「右前」で着ることが法令によって規定されました。この伝統は現在に至るまで、「右前」で着ることが守られ続けています。

着物や浴衣は「右前」で着てもらうように模様が入れられている 

法令により「右前」と定められたことから、着物の模様は「右前」に着用した際に上前にしっかりと模様が現れるように工夫されています。特に上前の模様は大きく、艶やかである一方、下前の模様は小さな柄が散りばめられたデザインが多く見受けられます。着付けの際には、模様の出方を確認しながら、どちらが上前であるかを判断できるようになっています。

一方で、浴衣や小紋など、全体に同様の模様が施されている場合は、模様だけでは上前と下前の区別が難しいため、「右前」ということをしっかりと記憶しておく必要があります。

「左前」は死装束

「左前」での着用が許されるのは、死装束のみです。死装束とは、故人が死後の世界へ向かう際に着用する衣服であり、その人にとっての最後の装いを指します。このため、生者が左前で着物を着ることは非常に不吉とされ、縁起が悪いと見なされています。特に祝いの席では、この着方は避けるべきであるため、十分な注意が求められます。浴衣の場合でも、左前での着用は「死」を連想させたり、「自殺願望」を想起させる可能性があるため、注意が必要です。

右前で着物を着るコツ

「右前」という表現は混乱を招くことがあります。自分の視点から見た「右前」と、他者の視点から見た「右前」が異なるため、混乱することもあります。浴衣を着る際に「どちらが前なのか？」と慌てないためにも、「右前」を正しく着るためのコツをしっかりと習得しましょう。

他人から見て「右前」とは

「右前」が正しい着方ですが、この右前は他者から見て向かって右側の衿が上に位置していることを示しています。つまり、自分の視点から見ると、自分の右側の衿は左側の衿の下にあるということになります。「どちらが前なのか分からない」といった状況になった場合は、「左側を上に着る」と覚えておくと良いでしょう。

衿合わせは右手から

浴衣を着る際には、まず衿合わせを右手から始めることを覚えておきましょう。右側の衿を左胸にかけて整え、その後左側の衿を右側の衿の上に重ねるようにします。これにより、どちらの衿が上か分からなくなることを防ぐことができます。

右前になっているか確認する！

自分の着方が正しく右前になっているかを確認することは非常に重要です。

・右衿が左衿の下に位置していること

・右手が自然に懐に入ること

・上前の端が右側に来ている（右側が余っている状態）

これらの3点が確認できれば、正しい着付けができています。

浴衣を着終えた後も、これらの3点を再確認し、しっかりと右前になっているかをチェックしましょう。もし間違いがあった場合でも、帯を締める前であれば修正が可能です。

他人に着付ける時の合わせ方のコツ

他人に着付ける際は、自分で着る場合とは異なり、左右が逆になるため、合わせ方に注意が必要です。

浴衣を羽織らせた後は、着せる人の前に移動し、膝を立てます。衿の位置が左右正しいか確認した後、丈を調整します。自分の右手側が上前となるため、一度上前の位置を確認し、左手で持っている下前を相手の左腰骨に掛けるように挿し込み、右手で上前をしっかりと回して腰紐で固定します。これで「右前」が完成します。

次に衿の調整を行います。

衣紋の抜き具合を調整したら、すぐにその衣紋を左手でしっかりと押さえます。右手で右衿を取り、そのまま左のバストを覆うように右衿の位置を決めます。右衿の位置が決まったら、左手を衣紋から離して左衿を取り、右衿の上に重ねて位置を調整します。

衿の合わせ方や上前の合わせ方が正しいか、しっかりと「右前」になっているかを再確認した後、帯を巻きましょう。

まとめ

浴衣の着方について、「右前」が基本である理由や「左前」が不適切な理由、さらに「右前」で着る際のポイントについて説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

浴衣の着方は意外と目を引くものです。特に夏祭りなど、多くの人が浴衣を着る場面では、「自分だけ着方が間違っているのでは？」と不安になることもあります。

着方に不安を感じると、せっかくの夏祭りを楽しむことができなくなります。そのため、浴衣の着方は「右前」が正しいことをしっかりと理解し、自分で着る際には左側を上にすることを徹底しましょう。

出かける前に、再度「右前」で正しく着ているか確認することで、安心して出かけることができます。

「右前」で着ているかどうかは、右手が懐に入れやすいか、上前の端が右側に位置しているかで判断できますので、ぜひ参考にしてください。

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