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2025.02.01

着付け

着物の柄に季節はある?着物の柄を知って楽しく着物を着よう!

着物は洋服に比べると柄のバリエーションが多いです。植物の柄などは季節に合わせて着ると趣が出て、とても素敵ですよね。しかし、植物のことをよく知らずに季節外れな植物柄をまとってしまうと、ちょっと残念に見えてしまうこともあります。

そこで今回は、着物の柄について詳しく解説していきます。是非、着物を選ぶ際の参考にしてみて下さい。

着物柄と格式

着物には礼装用のもの、普段用のものと格式が分かれていますが、実は柄にも格式があるのです。

着物の柄の格式と歴史

今でこそ着物に柄があるのは当たり前になっていますが、平安時代から江戸時代頃まで平民の着物に柄が入っていることはありませんでした。せいぜいが絣文様程度で、植物などを図案化した文様などは平服にありませんでした。

着物の柄は貴族の装束文化と共に発展してきたのもので、元々は自分の家柄や地位を示す文様が多く用いられていました。今でも格が高いとされる正倉院文様や有職文様などの原点は貴族の文様に原点があったのです。

着物の柄の装うルール

一昔前までは着物の柄は装う場に応じて選ばなくてはいけませんでした。例えば、菊文は皇室に由来することから気品が高く、格式の高い文様とされていたので、滅多な場所で着ることは許されませんでした。また、時節にあった文様でないと「おかしい」と言われ、好きな柄を好きな時に着ることもできませんでした。

また、時代によって文様の扱いも変わることがあり、同じ文様でも時代によっては軽んじられ、そうかと思うと重んじられと変化していった歴史もあります。そのため、世代によって文様の印象が違って映ることがあるということは覚えておくと良いでしょう。

最近の着物の装い方

洋装が普及してからの着物の装い方はより自由になりました。正式な場では格式にのっとって装うことが求められますが、普段着る分には文様や柄も気にせず、好きなものを装って問題ありません。ただし、夏の柄行をあえて冬に装うというのはやはり季節感のズレを感じさせてしまうので、季節感だけは大切にしつつ、自分の好きな着物を楽しむと良いでしょう。

着物柄の意味や季節を知る

着物柄には色々なものがあります。区別の仕方も色々ありますが、ここでは季節ごとに有名な柄をご紹介していきます。

通年(一年を通して着られる文様)

  • 松竹梅

松竹梅はおめでたい文様の筆頭に挙げられるものです。松、竹、梅厳密にはそれぞれ装うべき季節がありますが、どれも「おめでたい」意味があることがすぐに分かる文様なので、一年を通して着ることができます。結婚式などのおめでたい席に着ると大変喜ばれる柄です。

桐紋は大変格の高い紋様として知られており、家紋として用いている人も多くいます。格が高く、おめでたい柄ということから通年で装うことができます。しかし、あまりカジュアルな場では場違いな装いになるので気を付けましょう。

雲は季節に左右されることなく、また格を気にすることもなく着られる文様です。雲の表現も色々あり、カラーバリエーションも豊富なので一枚持っていると大変重宝する柄ものです。

  • 風景

風景も季節や格に左右されないため、一年を通して着ることができる柄になっています。大胆に描かれた風景画は人目を惹くので、個性を出したい時にもおすすめです。

  • 桜 

日本の代表的な花の一つである桜は、桜の咲くシーズンに装うと季節感とマッチしていて大変素敵です。桜と一言で言っても「桜文」、「枝垂れ桜」、「八重桜」、「桜山」、「桜吹雪」、「桜川」など様々あります。

藤も日本の伝統的な花で、豊作を願う花として珍重された歴史があります。藤原氏が全盛の頃、藤の花は高く評価され、有職文様に格上げされたそうです。そこから、今でも振袖などにおめでたい柄行として使用されることが多いです。藤の花だけの柄行着物は春向きの着物になりますが、松竹梅や吉祥文様などと組み合わされた藤の文様の着物は通年で着ることができます。

  • 牡丹

中国で百花の長として人気を誇った牡丹が日本に伝わったのは奈良時代と言われています。牡丹の華やかさは着物の文様にも重宝され、平安時代から用いられてきました。

  • 杜若(かきつばた)

アヤメ科の植物で、3枚の花弁の中央に白い紋様があるのが特徴の植物です。すっとした清涼感が初夏を思わせる文様なので、涼しさを演出したい時に装うと素敵です。

  • 菖蒲

端午の節句の時節に相応しい菖蒲は、凛としたカッコ良さが文様にも溢れています。きりりとした印象を出したい時、男の児のおめでたい日に装うと素敵です。

清涼感のある柳は夏に装うのに相応しい柄行です。「柳に燕」や「柳に蹴鞠」など、組み合わせ文様も多くあります。

  • 紫陽花

紫陽花は6月の花なので春かなという印象もあるかもしれませんが、着物の柄の分類上は夏とされています。しかし、近年は温暖化の影響などで5月頃から早々紫陽花が開花することもあります。その年、その年の紫陽花の開花時期を見ながら装ってみても良いでしょう。

  • オモガタ

オモガタは水田や池、沼などに自生する多年草ですが、夏から秋にかけて白い3弁の花を咲かせることから夏の植物として親しまれています。矢じりのような形に文様化されたことから武家にも好まれ、「勝ち草」で縁起が良いとまで言われる文様となりました。

  • 鉄線

初夏に白や紫色の花を咲かせるキンポウゲ科の植物です。西洋菊などと呼ばれることもあります。つるがなんとも夏らしく、華やかな印象を与える文様なので、夏の装いに華やかさをプラスしたい時におすすめです。

  • 朝顔

朝顔は夏の代表的な花の一つです。朝顔を見れば夏っぽさが伝わると言っても過言ではないほど、身近な植物なのではないでしょうか。だからこそ、朝顔の文様の着物は冬ではなく夏に装うようにしましょう。

  • 秋草

秋の七草ともいうように、「桔梗」、「萩」、「女郎花」、「撫子」、「葛」、「ススキ」、「藤袴」は秋の植物文様の代表格に挙げられています。得に夏から秋にかけてのまだ暑さが残る時期に、秋の到来を感じさせる文様として装うと趣があって素敵です。

  • 紅葉

赤紅葉は秋、緑紅葉(楓)は春と使い分けるとより季節感が出て素敵です。紅葉も春夏秋と鑑賞することができるので、通年で着ても特に問題はありません。しかし、紅葉したものだけが文様化された着物はやはり秋に着るのがベストと言えるでしょう。

菊は秋の花です。重陽の節句からも分かるように、菊を見て秋を連想する人は多いです。しかし、先にも触れたように菊は格式高い文様でもあるため、吉祥文様などと組み合わせておめでたい席に装うことも可能です。

  • 椿

椿は冬の花の代表格です。椿柄のものには雪持ち椿など、本当に冬らしさを演出するものもあります。洋装の柄ではあまり見ることができない趣深いものになっています。

  • 雪輪

雪の結晶を和風にデザイン化したものです。夏に雪柄の着物を装うのはやはり違和感が出てしまうので、冬に装うのに相応しい柄と言えるでしょう。

  • 南天

南天の実も冬の植物として人気が高いです。格もある文様なので、オフィシャルな場で装うにも相応しいです。

まとめ

ここまで、着物の柄について歴史や今の着物の着方、柄の季節について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

着物柄の装い方には昔は厳格なルールがあり、今でも正式な場面では着物の柄行を気にされる方が多いのは事実です。叙勲式などのオフィシャルな場では文様にも気を付けて、他人に不快感を与えない装いができると良いですね。

普段着物を装う際は、あまり柄にばかり気を取られ過ぎず、まずは着物を装うことの楽しさを味わいましょう。着物を装うことに慣れてきたら、柄にもちょっと気を向け、季節に合わせた粋な装いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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